ドナー候補者を体験して   支援会のメンバーの一人から
 戸田君にありがとうと言いたいのです。私は、以前から骨髄バンクへドナー登録したいと思っていたのですが、登録の仕方を調べもしないでいたずらに時を費やしていました。でも戸田君のことを知って、やっと登録できました。採血が終わると、すっきりとした気持ちとなり、誰かの命の助けになれることはとてもうれしいことだと思えました。戸田君が後押ししてくれたと思い、感謝しています。
 そんな2月某日、骨髄移植推進財団から分厚い封筒が送られてきました。私のHLA(白血球の型)がある患者さんに一致し、ドナー候補者のひとりに選ばれたとのことでした。今後の骨髄提供に向け、詳しい検査や面談に進むには、家族の理解と同意が必要でした。
 「患者は複数のドナーが適合した場合、5人まで並行してコーディネートを進めることができるし、1人のドナーしかみつからない場合もあります。何人のドナーが進行中であるか、地区事務局をはじめ調整医師、コーディネーター、ドナーには知らされません。これは、それぞれのドナーの自由意思を確保するためです。」と説明書に書かれています。さりげなく書かれていますが、重みのある言葉です。
 さっそく主人に言うと、「やりたいのやろう。だったら….」という返事。(良かった。反対の言葉はない) 骨髄提供者となった人たちにインタビューしたビデオを一緒に見ました。数日後、書類を書く前にもう一度、「同意に○をするけど、本当にいいわね。」主人「う、うん。」
 実家の両親にも告げました。両親は、戸田君のことをとても心配していたにもかかわらず、娘がドナーとなる可能性を持つことを知ると、さめざめと泣きはじめました。母は、「せっかく退院して、こうやってまた顔をあわせることができるしあわせを感じているのに、こんなつらい思いをするのなら、よくなるのではなかった。たったひとりの子供なのだから、あなたが骨髄提供することには同意しません。」母はひと月入院して、退院したばかりでした。父も、「そうしたい気持はわかるけれど、病気の義父がいる身で、リスクを背負うのはどうかと思う。私たちも先はそう長くないのだから、この役目はどなたか他の人に譲ってほしい。ささやかな今の幸せを続けさせてほしい。」
 折りしも、ある新聞では骨髄移植の連載をしていました。骨髄を抽出する注射針が五寸釘のようだと表現されたり、死亡症例があったこと(麻酔中の呼吸停止ですが)が報道されました。新聞、テレビでしか情報を得ていない、年老いた両親の目には、骨髄移植はとんでもないことに映ったことでしょう。ドナーになるかもしれないと、結論から言った私も悪かったと思います。毎日、十分に説明をしながら、じわりと切り出すべきでした。
 骨髄移植は、日本では毎年1000件前後行われていて、世界ですでに10万件を超えています。過去、世界で計4件の死亡事故が報告されていますが、日本の骨髄バンクを介しての死亡事例は発生していないそうです。
 主人の反対がないのに、これほど両親に反対されるとは思いもしませんでした。自分は自分の意思で行動するわけですから、何が起ころうとも仕方ありませんが、つらい思いをさせる家族への配慮、説得、情報が欠けていました。しかし、同意書提出の期限はせまってきます。不安を抱かせてしまった両親を見て申し訳なく思う一方、私がひとりきりのドナー候補かもしれないからと、同意したい気持ちも徐々にゆるぎないものになっていきました。
 コーディネート同意の返信を、両親に「ごめんね。でも、いつかわかってね。」と思いながらポストに投函しました。そして、適合した患者さんが元気で待っていてくださるようにと願いました。
 「娘さんを想うご両親のお気持ちは当たり前です。財団が全力でお守りしますから。」財団の方にそう言い切ってもらい、とてもホッとしました。私の場合は、主人が同意してくれたからよかったものの、もし、独身の方がご両親に反対されれば、せっかくの意思をあきらめなければなりません。ドナー登録したその日から、あるいはその前に、骨髄移植への十分な知識を得て、家族を説得する努力が必要だと思いました。
 骨髄バンクに登録したくてもできない事情の人もいることや、ドナー候補に選ばれても自分の意に反してドロップアウトせざるを得ない方のお気持ちをくむことも必要なことがわかりました。また、登録後にも、最終同意まではまだ自由に意思選択できる期間や権利があることも知りました。
 もし自分の大切な人が骨髄を必要としているなら、ドナーになることに何のためらいもないでしょう。でももし、自分の骨髄は自分の大切な人を助けるためだけにしか提供しないという人ばかりだったら、現在骨髄提供をお待ちの多くの患者さんを救うことはできません。骨髄バンクのシステムは、自分の大切な人を救いたいという気持ちを見ず知らずの誰かにも向けること、そして見ず知らずの誰かの善意を自分のかけがえのない人に向けてもらうことで成り立っているのです。そのことを戸田君は、次のような言葉で、私に教えてくれました。
 「もう僕は人の優しさに頼るしか生きることは出来ません。‥‥ 人は本当にいいものです。僕は不幸でありながら、今はとても幸せでいっぱいです。じぶんのためにいろんな人が協力してくれること、そのことで他の人の命も助けることが出来るかも知れないことが嬉しくてたまりません。」
 小さな封筒が届きました。「貴方様の骨髄提供のご意思にそってコーディネートを進めさせていただいておりましたが、患者さんの都合により今回のコーディネートは終了となりました。‥‥」「せっかくご返送いただきましたのに申し訳ございません。また機会がございました際に、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。」と丁寧な手書きで書いてありました。
 戸田君は残念ながら完全一致するドナーに出会うことができず、リスクが高くなる別の治療方法を選択せざるをえなくなりました。しかし、ドナーは今後また必要になるかもしれません。助け合って生きる世界、再び笑い合える日々が早く来るためにも、「骨髄バンク8万人登録運動」は大切だと思います。同じくSさんと一緒に活動してきたMさんから
 私は20日に、ボランティアに参加しました★チラシ配りや呼び掛けをして、多くの方が私たちの呼び掛けに耳を傾けてくださいました☆彡しかし中には素通りする人もいたし、骨髄バンクに対して間違った認識をしている人、骨髄バンクについて全く知らない人もいるなぁ〜と実感しました。
 実際、私自身もこうじ君のことを知るまでは骨髄バンクのことを全くと言っていいほど知りませんでした●>□<●しかし、今はこうじ君のおかげで、骨髄バンクを知ることができたし、こうじ君と同じように骨髄移植を必要としている人がたくさんいることを知ることができました!!私たちの力はちっちゃいけど、少しづつでいいので、骨髄バンクのことをいろんな人に知ってもらいたいなと思います☆彡来月の3日にも登録会があるので、少しでも多くの人に骨髄バンクのこと、こうじ君たちのように骨髄移植を必要としている人がいることをしってもらえたらな(*^‐^*)と思います!!
(2/27)
Sさんと一緒に活動してきたMさんから
 市役所という場、天気は雨という状況での活動に少し不安を抱きながらの参加でしたが、活動してみて感じたのは充実感でした☆この日、23人の方がドナー登録に協力してくださり、多くの方が骨髄移植への関心を示してくださいました。この一回一回の私達の呼び掛けにより、確実にドナー登録者は増え、支援の輪が広がっているのを実感し、とても嬉しく思います(*^∨^*)そんな中、関心を示さず、素通りする方がいる現実を目の当たりにしました。だからこそ強く呼び掛けたいです!!そうすることで、無関心だった方々に少しでも何かを感じてほしい!!一声一声の呼び掛けを大切にした活動、地道な活動、これがドナー登録8万人達成に繋がれば最高だと思いました(>u<)
(2/26)
Sさんの活動報告
 倉敷市役所でのドナー登録会でビラ配りを手伝ってきました。この日(2/20)は朝からずっと雨で,市役所に来る人自体少なく,ボランティアの人が「よくて10人」といっていたのが,23人もの人が登録してくれました!!
 献血は60人くらいの人がしてくれ,私自身は血がうすくてとれませんでした(´ε`)。でも献血の3分の1の人が登録してくれとても嬉しかったです!!
 市役所の野球チームに入っていて,浩司君と同じ投げ方のピッチャーでとても共感したと言ってくれ登録してくれたお兄さん。「やりたいんやけど喘息でできんのよぉ〜、けいれんがあってでできんのよぉ〜」と親身に話を聞いてくれた人もいました(*^^*)
 私が1番驚いたのはボランティアの方の行動力!!。大学に献血車がきていたら,すぐに並行してドナー登録会をしようと,その大学に問合せてくれました(*^^*)!!
 それともうひとつ…登録説明員にならないか?と聞かれました。これは骨髄移植がどんなものかっていうのを登録しようとしている人に説明したりする資格??ではないと思うけど 研修を2回くらい受けたらすぐなれるそうです。1回2千円で研修をうけて実地研修(実際のドナー登録会で説明できるか)を試験員がみてokならすぐなれるそうです(*^^*)!!しかも試験員は以前メールを支援会にくれた方なので優しく教えるよぉ〜って言ってました(*^^*)!!
 高知にはこの説明員がまだいないそうです!だから登録会ができないらしく,もってたら絶対いい!!といわれました^o^
 岡山でも高知でもやりたいっていう人が集まればいつでもどこにでも研修にいくし坂本先生にもこんなのがあることを電話するそうです(*^^*)!!!!!!と(2/22)
 30万人のドナー登録めざしましょう。(2/25)
Sさんからのよびかけ
 骨髄移植をしないと完治しない難病にかかった戸田浩司君の周りでは、今支援会が作られ、たくさんの人が骨髄バンク登録をよびかけてくれています。戸田君の病気のことを誰にも言えず、考えこんでいた時にはこの状況は想像ができませんでした。
 病気が分かってから今まで、たくさんのことがありました。
 骨髄移植後の生存率を聞いた時。
 完全一致のドナーがいなかった時。
 友達には絶対見せない不安や、手術の恐怖などで泣いていた戸田君に何もしてあげられない自分を情けなく思った時。
 クリスマスまでには一時退院できると計画をたてていたのに、退院できず、病院でクリスマスを過ごした時。
 つらい日もあったけど、笑顔でいた日も多かったです。
 たくさんの人の優しい応援や協力があったからです。
 戸田君は、僕は不幸やけど今は幸せだと言っていました。私も今ならその言葉の意味が少しわかる気がします。
 みんなの協力で骨髄バンクの輪は確実に広がってきています。戸田君のように骨髄移植を必要としている患者さんはたくさんいます。戸田君をきっかけに始まった、登録者8万人運動にどうか協力よろしくお願いします。
同級生の明神君からのよびかけ
 僕は中学、高校、大学と浩司とずっと一緒に野球をしてきました。甲子園に行くことができず、大学では必ず全国へ、神宮へ行こうと約束していました。もう一度グラウンドで浩司と野球がしたい!二人で一緒に全国の舞台に立ちたい!そして同じ夢を持つ者として浩司に最後まで夢を追わせてあげたい。自分だけでなく自分と同じ境遇の人のためにもと、呼びかけをしている浩司の姿を見て、僕も精一杯手助けをしたいと思いました。しかし一学生の僕には力も無く大きな行動を起こすことができません。そこでどうしても周りの人の協力が必要です。力を貸してください。
同級生の母親の北村さんからのよびかけ
 息子の同級生・戸田浩司くん(19歳)からのメールが土佐の同級生の間で廻りまわって私の携帯に転送されてきたのは、忘れもしない12月1日のことでした。涙でメールの文字がかすみ、胸が詰まりました。突然、不幸のどん底に突き落とされ、絶望感で眠れぬ夜を幾晩も過ごしたであろう戸田くんのメールを読んで、同じ歳の子供を持つ親として、胸をかきむしられる思いでした。親御さんのお気持ちを考えると、いてもたってもいられなくなり、彼の今おかれている厳しい状況を出来るだけ多くの人に伝えなければ!と翌日から、彼のメールをコピーして持ち歩き、戸田くんの恩師を始め、会う人会う人に見せ、また土佐高同窓会のHPに彼のメッセージをアップしていただきました。そして今、戸田くんの同級生はじめ、土佐校の先生方、保護者、全国にいるOBの方々から支援の輪が広がりつつあります。
 彼のために出来ること。それは、骨髄バンクに一人でも多くの方に登録していただくことしかありません。(登録は15分くらい、2mlの採血で簡単にできます。)ドナー登録が必ずしも戸田くん本人への骨髄提供にはならないこと、ドナー提供者のリスクがゼロではないことは、少しネックになるかも知れません。でも、皆さんのかつて19歳だったお子さん、あるいは、これから19歳を迎えるお子さんが、と考えてみて下さいませんか?私も骨髄バンク登録を遠い世界のように感じていた一人ですが、今回のことで、家族でも深く考え話し合い、祈るような気持ちで骨髄バンクに登録しました。
 最近の彼の「僕は不幸でありながら、今はとても幸せでいっぱいです。自分のために色んな人が協力してくれること、そのことで他の人の命も助けることが出来るかも知れないことが嬉しくてたまりません。僕ではないかもしれないけれど、皆さんが骨髄バンクに登録してくれることによって、誰かがまた笑って生きていけるようになる。」というメッセージに触れると、生命の危機に立たされながらも他を思いやることの出来る、素晴らしい前途ある青年の生命の灯を決して消してはならないという思いでいっぱいになります。彼を助けたい!何としても助けたい!骨髄バンク登録にご協力を宜しくお願い致します。
              戸田浩司くんの同級生の保護者・北村さんから